2020年2月5日、ナチュラルインテリア専門店 ミヤカグを訪問し、そこで勤務されている作業療法士の松本理絵さんにお話を伺いました。

今回の活動に参加した学生は、作業療法学専攻の3年 2名です。

松本さんは作業療法士でありながらもインテリアコーディネーターや2級建築士などの資格も取得しておられ、現在はミヤカグでコーディネーター・販売・広報を担当されています。

松本さんとお会いすることとなった経緯
大学の先生に「医療・福祉のフィールド以外での働き方に興味がある」という進路相談をさせていただいた際に、その先生の同級生である松本理絵さんをご紹介いただきました。
作業療法士でありながらもインテリアショップで働かれているという松本さんに、是非お話を伺ってみたいと思いお願いをしたところ、快く受け入れてくださいました。
専門職の新たな活躍の場を拝見し、幅広い働き方についてのお話をお聞きすることで、自分たちのキャリアについて考えを深めたいというねらいのもとで本活動をおこないました。

 

松本理絵さん プロフィール
●広島大学医学部保健学科作業療法学専攻卒。
作業療法士として整形外科のデイケアや認知症病棟、精神科病棟に勤務。
●結婚を機に夫の家業の有限会社宮本家具工業所「ミヤカグ」に入社。
当時、婚礼箪笥や木製仏壇を製作していた木工所だったが徐々に業態を「インテリアショップ」へと変えていく。
●取得資格:インテリアコーディネーター、2級建築士、作業療法士、キッチンスペシャリスト、福祉住環境コーディネーター、DIYリフォームアドバイザー、窓装飾プランナー
●得意分野:
・本物の木・天然素材を活かしたナチュラルテイストなインテリア
・人生100年を見据えたプラチナ世代(シニア)のリフォーム
・作業療法士の経験を生かした福祉施設・グループホームの内装提案
ミヤカグの素敵なお店の空間で、幅広くされている松本さんのお話を楽しく聞かせていただきました。

こんなお話をお聞きしました

  • 作業療法士としての勤務経験
大学卒業後はデイケアや精神科病院で勤務され、作業療法士としての勤務経験を5年間積まれたそうです。
給料面を重視しての進路選択であったとのことですが、「元々やる気のないじいちゃんを上手いこと言って活動に参加してもらうよう誘導するのが得意だった」とも話されていました。
豊富な知識やコミュニケーション力、提案力などは作業療法士として働くうえで重要ですが、これは全ての仕事に通ずることだとおっしゃっていました。
  • 作業療法士以外の資格の取得
結婚を機に作業療法士を辞めてミヤカグで働くこととなった松本さんは、まずはインテリアコーディネーターの資格を取得され、翌年には二級建築士の資格を取得されました。
日々の業務や家事、育児をこなしながらの取得だったそうで、とても大変だったとおっしゃっていました。
  • 家具を勧める際の作業療法士的視点
松本さんは現在、お客さんのニーズにあった家具やインテリアをお勧めし販売するといった業務にもあたられています。
「私は特に椅子の高さにうるさい」とおっしゃっており、椅子選びの相談に乗るときは、座った時に足底が床に着くものであるかを必ず確認されるとのことでした。
長く使える家具をお勧めされるにあたり、姿勢や身体構造についての知識をお持ちであることが役立っているとのことです。
またお洒落な手すりの取り扱いもあり、高齢の方が使用される手すりでも、状況に応じて同居する家族が見た目に満足出来るものを勧められるとのことでした。
「お洒落な家に普通の手すりをつけてそれが嫌だったら、奥さんはおばあちゃまに強く当たるかもしれないよね」といったお話もお聞きしました。
  • 「すてきな暮らし塾」について
ミヤカグでは、暮らしやインテリアに興味を向けてもらうためのワークショップ「すてきな暮らし塾」を開催しています。
料理教室やものづくりの教室に参加してもらうことで、家の中に興味を持ち、そこにお金をかけるということに地道につなげていくとのことでした。
  • 病院以外で活躍するPTやOTは増えてきている
松本さんが作業療法士としての経験を活かしながらインテリア系のお仕事に熱心に取り組まれる大きなきっかけとなったこととして、「インテリアリハビリテーション」に取り組まれている熊本県の理学療法士さん(池田由里子さん)との出会いがあります。
新聞のコラム記事にその方の取り組みが書かれており、それを読んだ後に直接コンタクトを取られたとのことです。
最近その方と久々に再会されたり、その理学療法士や作業療法士で管理職や経営業務をされている方々との出会いがあったりと、リハ職でも様々な働き方をされている方がおられるとのお話を伺いました。
  • 環境は人ひとり分の仕事をする
松本さんが現在の働き方をされるきっかけとなった理学療法士さんの講演を聴きに行かれた際、特に印象に残ったお話を教えてくださいました。
それは「環境が人ひとり分の仕事をしている」というお話です。
例えばデイケアで茶話会のようなプログラムを行う場合、日本では食器やその他空間作りに対して工夫するということはあまり一般的ではありません。一方で北欧ではお洒落な食器にお洒落なテーブルクロスなど、その環境から工夫がされているために人が自然に集まってくる、といったお話を伺いました。

お店の中もじっくり拝見しました!

お店にはたくさんの家具やインテリア雑貨が並べられています。開放的な雰囲気で、見ているだけでも楽しめました。
ミヤカグでは手作り雑貨の委託販売もされています。上の写真は障害のある方が製作に携わっておられるmugiccoのさをり織り雑貨が販売されているブースです。
上の写真は、数字の部分が動かせるカレンダーです。
「デイルームにもこんなカレンダーがあったら素敵だよね!」という話で盛り上がりました!

松本さんのお話をお聞きして

貴重なお話を沢山お聞きすることができました。特に「環境は人ひとり分の仕事をする」というお話には、納得するとともに今後の作業療法士としての工夫の可能性を感じました。
作業療法では人 - 環境 - 作業の視点で対象者を評価し介入を行いますが、対象者の方がより自分らしく生活することのできる環境とはどのようなものであるかを本当の意味で理解出来ていなかったように思います。
店内を拝見したところ、棚の取っ手一つでも豊富な種類があり、価格帯も低いものから幅広く取り揃えられていました。わずか数百円の部品を付け替えることだけでも人の生活の質がぐっと上がる可能性があることを知り、環境づくりの面白さや重要性を感じました。
また、リハ職の方々の経営者や管理者としてのご活躍についてもお話を伺い、医療・福祉以外の場で活躍される作業療法士は他にどのような方がおられるのかもっと知りたいと考えています。積極的に情報収集を行い、それとともに自分から情報を発信することの大切さも松本さんから教えていただきました。
今後は作業療法士の幅広い働き方について考えを深めていきたいと思います。

素敵な空間でお話をお聞きすることができ、とても嬉しかったです。
インテリアは一見作業療法士が携わる範囲とは考えにくいものでしたが、お話をお聞きしていると「まさに作業療法だ!」と思うことがたくさんありました。
また、生活の様々なところで作業療法の学びは役に立つということからも、今まで学んできたことはすべて無駄ではないのかなとも思えました。さらに将来の様々な場面で生きてくると思うと、もっと作業療法を知る必要があるとも思いました。
作業療法士がこれから病院外での活躍の場が増えたとしても、その世界にもともといた他の職種の人に信頼してもらい、作業療法士という職種だからこそ言える事をどんどん言えるようになるために地道に努力していく必要があるということも深く心に残りました。
今回訪問させて頂いて、素敵な空間で気持ちも変わり、そこで行う作業にも環境が大きく影響してくるということも少し実感することができました。これから働くなかでも、環境や空間についても重きをおけるようになりたいなと思いました。
松本さん、この度は貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました!

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